舞台「この音とまれ!」~届け 届け 届きやがれ~

※こちらの記事はネタバレに対する一切の配慮をしておりません。原作未読、未観劇の方はご了承の上でお読みください。

 

みなさんこんにちは。8月17日(土)に舞台「この音とまれ!」が幕を開けました。財木さんには絶対の信頼を抱いているので、期待の上にさらに期待を重ねて見に行ったら、その期待を軽く飛び越えていかれてしまい、とりあえずこの感情を書きなぐっておこう、という次第です。

いつもの2.5次元舞台とは少し違う老若男女取り混ぜたいっぱいのお客様。止まらない拍手。私もその中の1人でしかないのですが、胸がいっぱいになりました。終演後に客席をでたらリピーターチケットに長い列。この作品が推しの初座長公演でもう最高にHAPPYです。

 

長くなりそうなので、忘れる前に先に大事なことをひとつ。

 

 

<公演スケジュール・チケット情報>

東京公演の前売り券は既に販売が終了しております。開演1時間15分前より販売開始の当日券にお並びいただくか、プレイガイドにて当日引換券をご購入ください。

福岡公演・大阪公演については引き続き前売り券を販売しております。

詳しくは下記リンクを参照ください。

当日券 Guide | 舞台「この音とまれ!」公式サイト

前売り券・公演スケジュール Schedule&Ticket | 舞台「この音とまれ!」公式サイト

 

 

 

1番大切なこと言ったので、これで安心して感想文が書けます。

 

物語は1話から立浪先生が部室に現れる直前のところまで。校長先生がいなかったり、時間や場所などの制約のために少々の変更はありつつも原作をすごく丁寧に扱ってくれている、という印象でした。脚本段階からアミュー先生が関わってくださっているからか「このキャラはこんなことしない!」みたいなのも全くなく、最高にNoストレスです。

 ストーリーについてはこちらのゲネ記事が詳しくてエモいので予習・復習におすすめ。ライターさんがあえて本編にその写真を入れなかった気持ち、めっちゃ分かる。

 

序盤は愛(ちか)と武蔵(たけぞう)のほぼ2人、それも心理戦中心で物語が進行し1つ目の山場を超えなければならないので、負担はきっと大きいはず。それは一切感じさせず、物語にぐいぐい引き込んでいく2人の熱演。愛の登場シーンの飛び蹴りの打点の高さは見ものです。誤解が解ける頃には2人が愛おしくてたまらない。部室へ去る2人の悪口の応酬が全然悪口になってない。かわいい。ほほえましい。やばい。

続いてさとわちゃん登場。ここまでずっとご本人様登場状態。このご本人様登場は最後まで続く。マジか。さとわちゃんキューティクルがすんごい。細い。ちいさい。かわいい。すんなり入部を許されたさとわちゃん見て暴れる愛くんが振りかぶった学校椅子を自分の頭にぶつけて毎回鈍い音がするので心配。ねこかぶり状態から黒さとわへの豹変たまらん。愛に詰め寄ってくところとか怖くて最高。和やかになった空気がまた一気に緊張状態に。観客は既に事情を知ってるけど、さとわは知らない。「世間の目」とおんなじ。もどかしい。

場面変わって愛と武蔵の鬼ごっこ。2人ともめちゃくちゃ走ってる。インフィニティ∞で走ってる(古田一紀・談)。結構走らされてから哲生に「何か隠してるよね?」と詰め寄る部長。ここの哲生の反応は日替わり。武蔵の返しが古田節全開です。おつよい。白状させられて場面は楽器屋さんへ。藤田弓子さんのおばあちゃんが可愛いんだ、これが。もう最初から最後までずっと可愛い。ずっと暖かい。ちょっと飛び上がってげんこつするの、いいよね。

 

おじいちゃんとのエピソードは要所要所にさしはさまれてきます。おじいちゃん、でっかい男だ。私が好きなのは箏の弾き方を教える場面の回想ですね。おじいちゃんに褒められた愛が嬉しそうで。めっちゃ好き。ぐしゃぐしゃって髪をかきまわすおじいちゃんもすごく好き。

 

箏の修理が終わって、部員数まだ必要だよで3バカ登場。これで全員登場かな。時計見てないから分からないけど、たぶん開幕から3~40分経ってる気がする。ここから一気ににぎやかに明るくなります。勧誘する猫かぶりさとわ、それにおびえる愛と武蔵、その気になってる3バカの対比がすごい。愛が武蔵の後ろに小っちゃくなって隠れて文句言ってるの可愛すぎか。初登場シーンの3バカはほぼ日替わりアドリブ。テンポ良くて連携良くてキャラから全く外れることなくおもしろい。すごい。そしてみんなで爪を買いに行く。ここで何故かコータにだけ塩なメガネ部長が私は好きです。「ちゃんと使う」いいよね。爪買いに行くってなって、すんごく嬉しそうで、やっと箏弾けるっていう爆発しそうな嬉しさとはちがう、認められたっていう喜びだと勝手に思ってる。箏弾く資格を手に入れたかった愛の想いが形になった。3バカも嬉しそうなんだよね。

ほいで翌日。部室にちゃんと現れる3バカ。わちゃわちゃしてると教頭登場。不良ばっかりで騒いでるだけじゃん潰してやる!と無理難題吹っかけてるところに猫かぶりさとわちゃんがやってきてもっと無茶言い出すやーつ。恐れをなして逃げる3バカ。その途中で教頭と遭遇。真剣に箏曲部に入部する決意をします。どうしよう3バカがかっこいい。3人の愛に対する思いの強さがハッキリと感じられます。

 

3人が正式に入部して物語は朝礼での「龍星群」の発表に向かって動き出します。長くなりすぎるので全力でハショります。入部したてでまだ箏の扱いが雑な3バカに愛がわたわたしたりと、この辺はまだ3バカと愛の間に思いの強さの差があるのかなぁと思ったりなんだり。3バカの魂が抜けても愛はさとわに食いついてくもんな。メガネ部長の指の硬さを確認した後の舌打ち好き。楽器屋のおばあちゃん家に練習させてもらう交渉するところ、原作にない「配慮だ!(ドヤァ」はめっちゃ好き。声に出して使いたい日本語。

3バカが入部してから、原作だとギャグ絵になりそうなにぎやかなパートが多くてほんと楽しい。ダンボール箏を渡す場面は客席からは姿が見えないのに、なんだかわちゃわちゃ動いている気配がする。練習しまくりで指の皮ずるずるなの少し嬉しそうに見える愛。愛の本気に引かれて3バカも最初よりどんどん真剣になっていくのわかる。そして浮き彫りになっていくさとわの孤独。ほいでもって「もんじゃ」ね。帰ろうとするさとわを掴む愛いいよね。もんじゃ屋さんでもの珍しそうにしてたり、固まったりしてるさとわ可愛いよね。「教えかたがわからない」って口にするの、すんごい勇気が必要だったんじゃないかな。ここの一連のやりとりはしっかり心が通い合って、仲間として支えあってて、なんだか楽しそうでいいんすよ。

そしてさとわは愛がなぜ箏をやりたいのかを知ります。「どうしよう…どうしよう……」って彷徨うさとわ。ここ!表情!見て!!これがさとわの本質なんだと思う。顔見てるともう泣きたくなってくる。ていうか泣いた。黒さとわもさとわなんだけど、本当はまだまだそんなに強くなくて、こうやって惑うんだよ。からの「ごめん!」素直に謝れてなんて偉い子なんだ。愛おしい。たまらん。愛が頭にのせるポケットティッシュは日奈子ちゃんのキューティクルに負けてよく滑り落ちます。照れ隠しはローキックに。2時間弱の公演中にさとわのキックが2回、愛にクリーンヒットします。体張ってるなぁ。

おばあちゃんから「音は言葉で上手く気持ちを伝えられない人のための もう一つの言葉だよ」というアドバイスをもらい、ついに迎えた本番当日。ガッチガチに緊張している愛と3バカ。肝が据わってるさとわちゃん。教頭先生のスピーチが終わり、ヤンキーたちがヤジを飛ばす。いっそ落ち着いてきた筝曲部。せっせと爪をはめている愛。セットが左右に開くと奥から箏がせり出して来ます。ここからは舞台上には6人と箏だけ。ここでさとわがポニーテールにするの、原作とは違うけどすごく「気合い入れる」感じがしていい!1年生が自分の位置にスタンバイする中で武蔵先輩のスピーチ。それが終わると否が応にも緊張感が高まります。いや、そんな生易しいものじゃない。それぞれに調弦を確認し、難しいところを確認し、目を見かわして、息を合わせて。

 

正直ここまでとは思いませんでした。圧倒された。箏どころか音楽のことだってよく分かってないから、どう伝えればいいのか分からない。確かに上手い、でも公式にアップロードされてるプロの動画のように上手いというわけではない。けれどそこにはない何かがこの演奏にはあるような気がします。それは楽器屋のおばあちゃんが言うように「上手く言葉にできない伝えたい気持ち」なのかもしれません。

この6分間は原作やアニメのように回想も入らない、観客の言葉も、モノローグも入らない。ただ演奏でだけ勝負する6分間。ここまでの90分はこの6分のためにあったし、この6分がダメならばここまでの90分は無駄になる。その逆で、ここまでの90分がダメならこの6分がどんなに良くてもダメだった。でもそうじゃない。ここまでの90分も素晴らしかったし、この6分も素晴らしかった。愛の気持ちはおじいちゃんにきちんと届いた。「届け 届け 届きやがれ」とぶつけられた気持ちは全校生徒である私たちに確実に届いた。鳴り止まない拍手はその証拠。あまりにも長いから2日目からちょっと演出が変わった気がする。ここでまだ芝居が続くんでなければ立ち上がって拍手したくなるような演奏。

龍星群の話は長くなるので、別記事でしたいと思います。書く保証はないです。

 

その日の放課後、楽器屋さん。愛がおじいちゃんが最後に作った箏を受け取る場面。財木さんの愛は箏を見た時から泣いてる。箏を抱きしめてボロボロ泣く姿はまるでおじいちゃんに泣き縋っているように見えたこともありました。これ、観客も泣くなっていうほうが無理でしょ。タオルください。

翌日、モテ期到来サネに対してミッツは…。ここも日替わりあり。ふわふわしとる。改めてみんなで全国を目指すことになって本編はおしまい。カーテンコールへ。

 

 

 

初日終わって「すごかった」しか言えなかった。語彙の消失。舞台の上にはキャラクターが息づいて、彼らの青春を生きていた。演奏までもキャラクターそのものだった。これはDVDになるし、ゲネ動画を見ても映像になってもきっと伝わるものもあるだろうと思う。でも損なわれるものもきっとたくさんある。歌わない、踊らない、映像もない、衣装は制服だけ、装置はシンプル。流行りのキラキラした舞台じゃない。でもそれがどうした!舞台「この音とまれ!」を見ればわかる。派手なスパンコールなんか無くても青春はキラキラしているし、真っ直ぐな思いは痛いほど伝わる。

「届け」が合言葉だった。リピーターチケットを求める列が階段の下で折り返して伸びていた。「届いてるよ!」嬉しくてすぐにお手紙に書いた。もっともっとたくさんの人に届いて欲しい。せっかく福岡や大阪でも公演するんだから、東京までは行けないよっていう人のところにも届いたらいい。

 

劇場で、彼らの物語を見届けて、一人の高校生になって、彼らの音を、言葉を聞いて欲しい。よろしくお願いします。

 

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